黒潮の恵み、深島で体感 海底に鮮やかなじゅうたん
黒潮の恵み、深島で体感 海底に鮮やかなじゅうたん
佐伯市蒲江の沖に、人気のダイビングポイントがある。県最南端の島、深島を取り巻く海だ。海中には、いろとりどりのサンゴの周囲に大小さまざまな生き物が集う空間が広がっていた。
今月10日、大分市のダイビングショップがチャーターした漁船に乗り、深島に向かった。佐伯市蒲江竹野浦河内の県マリンカルチャーセンターから南へ約30分。周囲4キロ、34人が暮らす小さな島だ。
まず、島の東側に潜った。海面から7〜12メートル。海中のがけに沿ってイソギンチャクや、ウミトサカなどのソフトコーラル、テーブル状のサンゴが岩肌にびっしりとついていた。イソギンチャクの上をクマノミが、サンゴの上をオレンジ色のキンギョハナダイや青いルリスズメダイが群れている。
次に、島西側の岩礁近くへ。あいにくこの日は透明度が悪かったが、それでも色とりどりのじゅうたんを敷き詰めたような景観が広がっていた。海中を案内したインストラクターの安部政幸さん(43)は「ソフトコーラルやイソギンチャクがこれだけ一緒にある海は他にないのでは」。海ガメや大きなアオブダイが泳いでいたり、壁状になったメジナの群れを見ることもあるという。
一緒に潜った別府市の会社員小野浩一さん(48)と紀子さん(47)夫婦は県外・国外の海にも出かけるが、「初めて深島に潜ったとき、竜宮城があるならこういうとこだろうと思った」。「近場にこんな海があるなんてすごい」と話す。
深島の海に潜る場合、ガイドのいる各ダイビングショップがマリンカルチャーセンターに申し込み、地元の漁船がポイントまで案内する。漁場を保護し、安全に潜ってもらうため関係者で話し合い、つくったシステムだ。漁船の船長たちは地元・蒲江の海に潜る海士。その一人の浜野謙三さん(55)は「海の状況は自分たちが一番知っている。きれいな蒲江の海をアピールでき、地域の活性化にもつながれば」と話す。
もっと身近にサンゴを見ることもできる。マリンカルチャーセンターのある元猿湾内にも実はサンゴがあり、地元のNPO「かまえブルーツーリズム研究会」による体験講座で見学できる。現地芸能人「ピエール」として講師を務める同センターの松久浩紀さん(42)は「蒲江の海は黒潮の恵みを受けた豊かな海。海藻とサンゴ、熱帯魚と食べる魚が一緒にいる」。
地元で育った松久さんは、子供の頃は湾内でサンゴは見たことがなかったという。一方、今は数年に一度しか産卵に来ない海ガメは、毎年何匹も砂浜に来ていた。「海の中は環境の変化により敏感と思う」。多くの人が海に目を向けることで、環境への意識を高めてほしいと願っている。
