2千円札10周年
「平和の紙幣」2千円札10周年 復権願う沖縄の思い
2千円札が19日に発行10周年を迎える。一時は流通量が5千円札を超えた時期もあったが、いまや1億枚余でピーク時の5分の1。ゆかりの地、沖縄では「平和希求紙幣」の復権を願い、さまざまな取り組みが続いている。
2千円札は、九州・沖縄サミットと西暦2000年を記念して同年7月、42年ぶりの新額面紙幣として発行された。沖縄の復帰運動にもかかわった故・小渕恵三元首相の肝いりで、表には那覇市の首里城の入り口にある「守礼門」がデザインされている。
日本銀行によると、流通量は04年8月がピークで5億1300万枚。4種の紙幣のうちの流通割合は4.7%と、5千円札を0.5ポイント上回った。しかし、それ以降は減少。今年6月には1億1100万枚、流通割合は1%にまで落ち込んだ。
発行当初は2千円札を使える現金自動出入機(ATM)設置の遅れなどが指摘されていたが、現在はおおむね解消されたという。日銀担当者は「映画チケットやタクシー代など便利に思える場面はあるのに、使い勝手が悪い印象が広がってしまった」と話す。
一方、沖縄県内での流通量はほぼ右肩上がり。今年6月の344万8千枚は9年前の2倍。毎年12月に増える傾向があり、お年玉としても定着している、とみられている。
払い出し時に「2千円札優先」を選べるATMが地元銀行に設置されるなど、利用を呼びかける地道な取り組みが功を奏しているようだ。05年4月には経済界を中心に「二千円札流通促進委員会」が発足。「二千円札大使」制度では「自ら積極的に利用する」「周囲に利用を呼びかける」などを任務とした認定証を発行し、大使は13万5千人にのぼる。10周年記念のイベントも活発で「二千円札満腹セット」を始めたホテルもある。
普及運動の中心となってきた元沖縄海邦銀行頭取の湖城英知さん(76)は「財布にはいつも20枚ほどあり、祝儀はすべて2千円札」。2千円札への思いは筋金入りだ。
16世紀に創建された守礼門は太平洋戦争末期の沖縄戦で焼失。戦後まもなく再建された。銃火の中を逃げ惑い、祖父を失った湖城さんの目には「平和の象徴」と映った。だからこそ、「平和希求紙幣」の2千円札を通じて、沖縄を見つめ直す動きが広まってほしい、と思う。
「経済大国の紙幣の一つに平和を願う心が詰まっている。これを生かさない手はない」
http://www.asahi.com/national/update/0717/SEB201007170101.html
