離島グルメ、都心奔走

この夏また隠岐へ潜りに行く?
あぁああ!また鬼太郎見物かぉ!

離島グルメ、都心奔走 移動屋台、手本は行商ばあちゃん

「離島キッチン」。車体にそう書かれた車がいま、東京の都心を走り回っている。島根県の離島が始めた移動アンテナショップだ。店主は、島の観光協会に採用されたIターンの「行商人」。都会に離島グルメブームを呼び起こそうと奔走している。

 「イカ漬け丼ね。どうぞー」。週末になると都心近郊のイベント会場で、店主の佐藤喬さん(33)の威勢のいい声が響く。

 隠岐諸島の名物・スルメイカのしょうゆ漬け丼、奄美大島の鶏飯など離島の名物料理を出す移動屋台。走らせるのは、島根県の沖合約60キロ、隠岐諸島にある人口約2600人の海士(あま)町観光協会だ。

 佐藤さんは都内の広告会社に勤めていたが、昨春、観光協会がネットの転職サイトで募った「東京での行商人募集」に応募した。全国から集まった十数人と島で面接を受け、観光協会の臨時職員として採用された。

 海士町は人口の1割近い200人が、島外から来た20〜40歳代のIターンだ。全国から投資を募って島ブランドの商品開発を支援するなどユニークな町おこしで知られる。

 行商人募集もその一環だった。観光協会職員の青山富寿生さん(44)は「地方の離島を都会で売り込むには、客に飛び込む攻めの姿勢がないと難しいと思った」と話す。

 お手本にしたのは、島で60年近く魚の行商を続ける80歳を超えたおばあちゃん。「対面販売で心を通わせ、固定客を離さない。都会の人の心にもしみるはず」(青山さん)

 採用された佐藤さんは、島での1カ月間の研修中、毎晩のようにIターンの若者と酒を酌み交わし、島の未来を熱く語り合った。東京に戻ると、都内に約40軒ある都道府県のアンテナショップや、会社員のランチを当て込んだ移動屋台を見て回った。

そして、昨秋、島の名物「さざえカレー」と、スルメイカの漬け丼の2品で行商を始めた。最初はなかなか売れず、1カ月後、離島をもつ全国の町村と直接掛け合って材料を調達し、奄美大島の鶏飯や大分県保戸島のマグロ漬け丼などメニューを5品に増やした。口コミで客足が徐々に伸び、今年やっと採算がとれるようになってきた。

 4月からは観光協会の正職員にもなった。「離島グルメをブレークさせるまでは辞められません」(須藤龍也)

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 隠岐だけではない。各地の離島の味が今、都心に上陸している。

 伊豆・小笠原諸島への定期船が運航する東京・竹芝客船ターミナル内にあるアンテナショップ「東京愛らんど」の人気商品は、東京から南に約1千キロ離れた小笠原諸島・父島の「薬膳(やくぜん)島辣(ラー)油」。父島産の唐辛子やアロエがたっぷり入り、汗をかくほどの辛さが売りだ。

 瀬戸内海に浮かぶ香川県小豆島産のオリーブ商品を並べるのは東京・新橋の香川、愛媛両県のアンテナショップ「せとうち旬彩館」。2008年、島内のオリーブの塩漬けや、オリーブシロップを使ったサイダーを発売し、いまや讃岐うどんに次ぐ人気になっている。香川県東京事務所の浜野弘文・副主幹は「島の食材が生活の一部に定着しつつある」。

 沖縄の味を集めた東京・銀座の「銀座わしたショップ」は1994年に開店した「老舗(しにせ)」。2008年度の売上高は約9億円。ゴーヤやウコン、海ブドウは全国区の人気商品。副店長の前田展野さん(48)は「安心な国産だけど、遠い島のミステリアスさもある。それが島の味の魅力です」。

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