椎名林檎 @ SUN STAGE

新曲「You」?w
椎名林檎 @ SUN STAGE
一体、どんな趣向を凝らしてくれるのか――? 定刻近くになって開始した打ち上げ花火に歓声を上げながら、〈SUN STAGE〉に集まった観客たちは、各々の期待と妄想を大きく膨らませている。そんななか、まずは斉藤ネコ・クァルテット(ヴァイオリン×2、ビオラ、チェロ)が真っ白な正装で登場。ステージ上に設置されたスケルトンのドーム内でセッティングを始める。そして弦の響きに導かれるように、椎名林檎が現れた。白のロング・ジャケットにハイカラー・シャツ、黒のホットパンツに身を包んだ彼女は、まるで男装の麗人のように凛とした美しさを放っている。4弦と歌のみという編成のステージは、バート・バカラック“Alfie”のカヴァーで幕を開けた。それと同時に舞台両脇に設置された大型スクリーンには、ライヴ映像と共に彼女が紡ぐ歌詞が字幕風に映し出されてゆく。
“罪と罰”からは林檎自身のピアノも加わって、東京事変/個人名義の楽曲をクラシカルな映画音楽風にアレンジしたセットを次々と展開。なかでも白眉となるのは、ライヴ中盤で初披露された新曲“You”だろう。この切ないラヴソングは、なんと彼女が大ファンのバカラックから提供された(!)楽曲だという。その後、終盤では“歌舞伎町の女王”“茎”といった〈林檎初心者〉でも盛り上がることのできる楽曲を立て続け、ラストは斉藤ネコとの初共演曲“同じ夜”を斉藤のピアノ伴奏で歌い上げて終了。
客電が落ちた後、隣の女の子ふたりが「(世の中には)いるんだね、ああいう人が……」としみじみと語り合っていたが、その言葉に大いに頷けるほどに、今宵の彼女は本当に美しかった。演出方法も含め、音楽家・椎名林檎の才能をまざまざと見せ付けられた、至福の一時間であった。RISING SUN ROCK FES. 2008 in EZO 椎名林檎 セットリスト
1. Alfie
2. ポルターガイスト
3. 化粧直し(東京事変)
4. 罪と罰
5. とりこし苦労
6. You
7. 駅前(東京事変)
8. 歌舞伎町の女王
9. 茎
10. 同じ夜
東京事変 @ SUN STAGE
粋な着流し姿で現れた男衆に続き、白の着物+黒の羽織を纏って登場した林檎嬢。伝統的な衣装を個性的に着こなしたファッション同様、この日の東京事変は上品かつ破天荒なステージングで観客を魅了した。
冒頭こそ椎名林檎名義の“丸ノ内サディスティック”であったものの、全体的には最新アルバム『娯楽(ヴァラエティ)』の楽曲を中心に構成された今回のセットリスト。ジャジーでソウルフルでファンキーなサウンドにのせて、林檎嬢は拡声器を使用したり、舞台上を艶やかに練り歩いたり、流し目をキメたりと、曲によってくるくると変化する独特な歌世界をシアトリカルに体現していく。
その後は、今年の〈ライジング〉で個人的に観たいラインナップを披露したり(スチャダラパーやマボロシ、BABEE BOYSなどだそう)、亀田誠治との軽妙なトーク(「師匠、何か皆さんに申し上げたいことはありますか?」と話を振る林檎嬢→観客の期待が一身に集まり、「そんなに求めないでください(笑)」と恥らう亀田誠治→そんな亀田に対して「気持ち悪い(笑)」と愛あるダメ出しをする林檎嬢)を挟んだりしながら、ステージは一気にクライマックスへ突入。“黒猫道”“閃光少女”でキャッチーかつアッパーに盛り上げ、得も言われぬ昂揚感を残してメンバーたちは去っていった。音楽家としてのみならず、表現者としても彼らは超一流なんだなあ、と(特に林檎嬢には女優魂のようなものすら感じた)。そんなことをつくづくと思い知らされたパフォーマンスだった。
RISING SUN ROCK FES. 2008 in EZO 東京事変 セットリスト
1. 丸ノ内サディスティック(椎名林檎)
2. ランプ
3. ミラーボール
4. 歌舞伎
5. OSCA
6. ピノキオ
7. キラーチューン
8. 黒猫道
9. 閃光少女