主婦ダイバー、日本記録更新

abalone2007-01-18

コンスタントで61m!w
息止め2分。
すごいっ! (^^

主婦ダイバー、日本記録更新

素潜りの深さを競うフリーダイビングで昨年十二月、女子の日本記録を更新した平井美鈴さん(33)、千葉県佐倉市。ほんの数年前までは、泳ぐことすらできなかった普通の主婦だった。ダイビングを「無の境地」と話す彼女の深海に挑むわけは。

い海。照りつける太陽。昨年十二月、エジプト紅海沿いの都市ハルガダで開かれたフリーダイビングの世界選手権。波間にまっすぐ体を伸ばした平井さんが、九〇度に腰を折り、潜水を始める。ダイバー自身の泳力だけで潜降・浮上し深度を競う「コンスタント」と呼ばれる競技形式。フィン(足ひれ)をけるたびに、どんどん体が沈んでいく。息苦しさは感じない。水圧から耳を守るため鼻から空気を送る「耳抜き」も順調だ。どの程度、呼吸が続くかは体が覚えている。61メートルの地点でロープにぶらさがった白い札を手にすると、フィンをけり上げる。ぐんぐん海面へ迫り波間に顔を出す。この間、二分。OKを出す審判陣。わき上がる歓声。涙が止めどもなくあふれた。

 「いろんな人から応援のメッセージをいただいていたので、期待にこたえられて本当にうれしかった。練習はつらいこともあったけど、続けてきて良かった」と平井さん。それまでの日本記録60メートルを1メートル更新した。

 平井さんは東京都出身。もともとは海に入るのもためらうほどの「カナヅチ」だった。一九九九年、小笠原のドルフィンツアーに参加した時。ほかの参加者が海に潜ってイルカと触れ合っている様子を、水上から見下ろすしかなかった。

 転機は二〇〇三年。旅先で出会ったダイビングの愛好家グループ「東京フリーダイビング倶楽部」(新宿区)のメンバーに、小笠原で味わった悔しい経験を語ると、「ぜひ潜ってみては」と促され入会した。

 〇四年から本格的に練習を開始。最初は市民プールだった。こわごわ潜った。初めての講習会で、18メートルを潜ることができた。これが自信になった。神奈川・真鶴の沖合や都内、千葉県内のプールで練習を重ねると記録が伸びた。翌年には目標としていた40メートルを超えた。

べてが海の青に包まれる「グラン・ブルー」の世界。「誰もいない世界。聞こえるのは海の音だけ。そうした宇宙にいるような無の境地は、陸上ではなかなか体験できないと思う」。母なる海に回帰する瞬間がたまらないという。ウミガメにつかまって遊泳したこともある。

 大切なのは肩の力を抜き雑念を振り払うこと。心臓が激しく鼓動すると酸素を大幅に消費し、血液中に二酸化炭素が増える。精神の乱れはホルモンのバランスを崩す。フィンや手を使って強引に潜ろうとすると息が続かなくなるのは、そのせいだ。「なるべく頭の中を真っ白にしようと意識して練習すれば上達が速いと思いますよ」と平井さん。ヨガの教室にも通い、心の修養に務める。

 ダイビングは危険が伴う。酸素が欠乏して意識を失う「ブラックアウト」という症状もある。平井さんは「たとえ遊びでも一人で潜ることは絶対にやめてほしい。フィンやシュノーケルの扱い方をきちんと把握することが大切。もちろん当日の体調もよく踏まえてほしい」と訴える。

 女子の世界記録は86メートル。平井さんは世界ランキング十位だ。「記録を出したときは、まだ息に余裕があった。世界では、私より年上の女性が世界記録をつくったこともある。体と相談しながら行けるところまで行きたいですね」と目を輝かせる。会社員の夫(33)も後押ししてくれている。海は謎めいた危険な舞台。「恋人なんだけど、まだ知らないことがいっぱいある。良いときもあれば悪い状況のときもある。その意味では恋人より怖いことがある」

 それでも潜るのは、その先にあの「グラン・ブルー」が広がっているからだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20070118/mng_____thatu___000.shtml