ニングヮチカジマーイ(二月風回り)

4人遭難全員救助/真栄田岬でダイビング
十二日夕、恩納村の真栄田岬海岸で、潮に流されたダイビングの女性客の救助に向かった北谷町宮城のダイビングショップ従業員木内哲哉さん(26)と米軍人のカーディズ・ボーさん(43)が行方不明になったが、約九時間後の十三日未明に救助された。二人は元気だという。
石川署によると、木内さんは計十人のダイビンググループで十二日午後零時すぎ、真栄田岬の海岸から海に入った。午後四時ごろ、波が高くなったため海岸に戻ろうとしたところ、海岸の階段付近で客の女性(27)が高波を受けてバランスを崩し、沖へ流されたという。木内さん、別のグループでダイビングに来ていたボーさん、ダイビングインストラクターの男性(23)の三人が救助に向かったが、四人とも岸に戻れなくなった。女性と男性は同日午後五時半ごろ、海岸にたどり着いたところを第十一管区海上保安本部のヘリコプターで引き上げられ、救助された。
木内さんとボーさんも海岸沿いの洞窟付近で手を振っているのが十一管区のヘリコプターなどで発見されたが、海が荒れていたため救助が難航していた。十一管区や消防など約七十人と米軍のレスキュー隊が捜索し、無事救助した。
◇ ◇ ◇
生還抱き合い涙/強風・荒波 懸命の捜索
恩納村真栄田岬で十二日午後、ダイバー四人が巻き込まれた遭難事故。行方が分からなくなった二人の捜索活動は、たたきつける強風と荒波が救助活動を阻まれ、十三日未明まで続いた。「元気だぞ」。行方不明となっていた日本人、米国人の男性二人ががけ下からロープで引き上げられると、現場に駆けつけた関係者に安どの声が広がった。
現場は通称「青の洞窟」と呼ばれる有名なダイビングスポット周辺。事故発生後、第十一管区海上保安本部のほか、警察や消防、米軍など約七十人が出動。ヘリ二機のほか航空機、巡視艇など空、海、陸から懸命の捜索活動を続けた。
岬の駐車場では、行方不明となっていた北谷町のダイビングインストラクター木内哲哉さん(26)が勤めるダイビングショップの関係者が不安そうな表情で待機。救助された木内さんが姿を見せると、互いに涙しながら抱き合い、生還を喜んだ。
村内のダイビングショップ経営の男性によると、十二日午後の事故周辺海域はなぎ状態だったという。前線が通過した午後三時ごろから急に風向きが北側に変わって波が高くなり、しけ始めたという。
村真栄田で長年漁業をしている長浜安則さん(51)は「ニングヮチカジマーイ(二月風回り)の時期で、一時間もしないうちに風向きが変わり、台風のような北風が吹く。潮の流れもすぐに変わる」と説明する。
沖縄気象台は同日午前六時二十三分に「強風と高波に関する気象情報」を発表。本島中南部と北部では夕方から最大瞬間風速で一八メートル、波の高さは最大で五メートルに達するとの情報を出していた。
人気半面 危険スポット/真栄田岬事故
2月風回り、ダイバー襲う/情報収集・経験が欠かせず
恩納村の真栄田岬海岸で十二日午後、ダイバー四人が巻き込まれた遭難事故は約九時間後の十三日未明、全員が無事に救助された。人気のダイビングスポットで起きた突然の海難事故。旧暦の二月はニングヮチカジマーイ(二月風回り)で、天候が急変するのは地元では「常識」。海に出るのは細心の注意が必要で、地元の関係者らは状況が刻一刻と一変するこの海域の怖さを口々に指摘した。(粟国祥輔、銘苅一哲)
事故が起きた真栄田岬は通称「青の洞窟」があり、シュノーケリングやダイビングの人気スポットとして多くのダイビングショップが利用している。同村のダイビングショップの女性インストラクターは「風がなければとてもいいスポットだが、風が吹くと、岸壁に打ち付けられた返し風が強くなり、岸に近づくのも危険」と話す。女性は事故当日に午前と午後の二回、客とともに真栄田岬を訪れ、午後三時ごろに風が強くなり始めたので引き揚げた。当日の現場の様子を「引き揚げた直後から一気に天候が変わり、台風のような波になった」と振り返り、「あの波で助かるとは。大変だったと思う」と語った。
恩納村漁業協同組合の金城重治組合長(53)は「残波岬から伊江島方面に黒い雲が移動すると、台風並みの北風と高波になる。漁船も港から出れない。西海岸の漁師なら知っていて当然だ」と指摘。「前日からニュースが高波になると報じていたはず。ダイバーは事前に計画を練るなどチェックする体制が必要だろう」と話した。
ニングヮチカジマーイは、東シナ海に低気圧が急激に発達、風が南から北へ急変することをいう。沖縄気象台によると、昨日の天候とニングヮチカジマーイとの関係は認められていないものの、「風が急変し強くなったことで共通している」と指摘している。沖縄気象台は昨日午前に「強風と高波に関する気象情報」を発表。夕方から最大風速で一八メートル、波の高さは最大で五メートルに達するとの情報を出している。
なぎから高波へ 必死の救助実る
第十一管区海上保安本部によると、恩納村の真栄田岬で十二日、東京から来ていた観光客の女性(27)は海岸近くの洞窟から岸に上がろうとしたところを、高波にさらわれた。海岸沿いに東へ約五十メートル流されたとみられる。
女性のインストラクターだった木内哲哉さん(26)は、ライフジャケットを持って女性を助けに向かった。木内さんは近くにいたカーディズ・ボーさん(43)にライフジャケットを渡し、ボーさんが女性に手渡したという。
その後、女性は洞窟よりさらに東の海上で、別のグループのインストラクターだった男性とともに同本部のヘリで救助された。
木内さんとボーさんは洞窟で待機。手を振っていた二人を米軍ヘリなどが発見した。レスキュー隊員二人が約五十メートル崖下の洞窟に入り救助し、崖の上で、同本部と消防、米軍関係者らが人力でロープを引き上げた。
現場は普段なら、洞窟から階段まで歩くことができる場所だが、高波のため木内さんらは移動ができず、救助まで約九時間かかった。